血圧のおはなし

血圧は一定じゃないの?

激しい運動をすれば血圧は当然上がりますが、普通に生活していても血圧は変動します。
血圧は常に一定ではないので、たった一度の測定では血圧は決められません。なぜなら、血圧は食事や運動、ストレス、気温の変化など様々な要因で変動するからです。
例えば、24時間血圧計で血圧を測定してみると、血圧は朝起きてから徐々に上昇し始め、活動する日中に高くなります。そして、夜になるにつれて下降していき、睡眠中は更に下降します。このような一日の変動パターンを日内変動といいます。

この日内変動は、自律神経の活動と深い関わりがあります。この自律神経には、交感神経と副交感神経の2種類があり、一方の活動が活発な時、もう一方の活動が弱くなるという特徴があります。血圧は交感神経が活発になる日中に上昇し、副交感神経が活発になる夜中に下降します。

一日の血圧推移例画像

このことから、家庭での血圧測定は朝晩それぞれ原則2回測定し記録することで、血圧の変化や平均値からおおよその平常値を知ることができる上、病気の早期発見や合併症を抑える生活改善にも役立ちます。また、治療を考える上で重要な資料にもなりますのですべての測定値を記録します。高血圧診断や降血薬の効果判定には、朝晩それぞれの判定値7日間(少なくとも5日間)の平均値を用います。

朝方に特に高くなる早朝高血圧は、脳卒中や心筋梗塞の発症が、血圧の正常な人に比べて高くなります。そこで、医師は起床時の血圧を重要視しています。起床時と就寝前の血圧測定を毎日続けることをお勧めします。

朝の測定は、起床後1時間以内で、排尿後、食事前(降圧薬を飲んでいる方は服用前)、座位で1~2分安静にしてから行います。夜の測定は、就寝前ではありますが、可能であれば入浴前か、入浴してから1時間後、そして、どちらも1~2分の安静後とされています。病院にかかられている場合は、測定における追加条件について適宜医師の指示を受けてください。

なお、診察室血圧と家庭血圧の診断が異なる場合は家庭血圧を優先します。

高血圧の種類

高血圧には4種類のタイプがあります。あなたに当てはまるタイプはありますか?

早朝高血圧

朝の血圧が急に上昇する方です。
朝の脳卒中のリスクが高い方です。

早朝高血圧 画像

夜間高血圧

睡眠中の血圧が上昇する方です。
睡眠時無呼吸の症状などがこのパターンになることがあります。

夜間高血圧 画像

職場高血圧

仕事中にストレス等で血圧が高くなる方です。
診察室血圧はほとんど正常ですが、このような高血圧がでます。

職場高血圧 画像

白衣高血圧

正常血圧と比較して将来的な脳心血管病イベントリスクが高いため注意が必要と言われています。

白衣高血圧 画像

上記の例は自治医科大学の実際の症例です。
自治医科大学では24時間血圧計を使用してのHi-JAMP研究を行っています。

血圧を測る腕は右?左?

はじめての血圧計による血圧測定では、血圧を両方の腕で測る必要があります。これは左右の腕で血圧にかなり差のある場合があるためです。特に左右の腕で測定値に大きな差が出やすいのは高齢の方です。これは腕の血管が狭くなったりしている場合があるためだと考えられています。
もし、左右の腕での測定結果に殆ど差がなければ、原則として利き手の反対側での測定が推奨されていますが、定期的に左右両方の腕での測定値に差が出ていないかを確認することをお勧めします。

ページ内文書参考:厚生労働省高血圧ホームページ、ほか