情報マガジン『WAY』
エー・アンド・デイ情報マガジン『WAY』
VOL.49 2025.JUNE
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
宇宙輸送技術部門H3プロジェクトチーム様
- A&D製 ロケットエンジン燃焼試験、
機体システム試験用計測装置の監視スペース
宇宙開発利用を技術で支える国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)様。
H3ロケットのエンジン燃焼試験や機体システム試験に、A&D製の計測装置をご採用いただいています。
JAXA 宇宙輸送技術部門H3プロジェクトチーム 久保田勲様にお話を伺いました
JAXA様は「宇宙と空を活かし、安全で豊かな社会を実現する」という経営理念のもと、宇宙航空分野における研究開発に挑戦し続けていらっしゃいます。
最高レベルの精度とスピードが要求されるロケット開発にA&D製の計測装置をご利用いただいています。
- JAXA 宇宙輸送技術部門
H3プロジェクトチーム - ファンクションマネージャ
久保田 勲様
全国3か所の試験場で合計6式の計測装置が、試験中の状態をリアルタイムで計測しています。
- インタビュアー 計測装置導入の歴史を教えてください。
- 久保田様 1989(平成元)年からのH-IIロケット第1段エンジン(LE-7)の燃焼試験での導入が第一歩です。当時の計測装置は、燃焼試験設備を整備した取りまとめ企業のもとで日本電気三栄株式会社様〔2015(平成27)年にA&Dが事業継承〕により整備されました。H-IIロケットの開発完了後も、計測精度および信頼性の高さが評価され、引き続きH-IIA/Bロケット第1段エンジン(LE-7A)の開発に使用しました。
- インタビュアー 引き続きご採用いただきまして、ありがとうございます。
- 久保田様
2015(平成27)年にH3ロケット開発を開始し、種子島宇宙センター(鹿児島県)で約10年ぶりに燃焼試験を再開することになりました。そこで計測装置を刷新するにあたり、日本電気三栄様から計測事業を継承したA&Dさんの計測機器を導入することになりました。
2017(平成29)年に始まった種子島宇宙センターでのH3ロケット第1段エンジン(LE-9)の燃焼試験での利用開始以降、現在は種子島、角田(宮城県)、田代(秋田県)の試験場に合計6式が整備されています。 - インタビュアー どのような試験にお使いになっているのですか?
- 久保田様
H3ロケットの開発において、エンジン燃焼試験、機体システム試験の計測装置として使用しています。具体的には、エンジンや機体各部の圧力や温度など、さまざまな状態をリアルタイムで計測しています。また、異常が発生した場合に、速やかに異常を察知して安全に試験停止する必要がありますので、試験中に異常な数値が計測されないか監視することにも、この装置を使用しています。
試験後は、この装置から得られたデータを詳細に解析して設計評価をしています。
試験運用の短縮化・効率化・省力化に貢献してくれています。
- インタビュアー 計測装置の使用感はいかがでしょうか?
- 久保田様
H3ロケット向けの新しいエンジン開発では計測項目数が増え、分解能も向上しました。この状況に対応してハードウェアとソフトウェアを専用設計でつくりこんでいただいたので、データ処理 ・ 解析に要する時間が短くなり、試験運用の短縮化に貢献してくれています。併せてリアルタイム監視や異常監視ができる計測項目数と機能の増加にも対応していますので、試験条件の設定に余裕ができたことが嬉しいですね。
また、Wi-Fiの導入により現場でも手元のモニタで供試体の状況を確認しながら作業を進められるようになりましたので、効率化 ・ 省力化にも貢献してくれています。
H3ロケットに磨きをかけていきたいと考えています。
- インタビュアー 今後の取り組みを教えてください。
- 久保田様
H3ロケットは2024(令和6)年2月に試験機2号機打ち上げに初成功し、5号機まで連続成功しています。着実な打ち上げ運用を継続していくとともに、並行してH3ロケットの改良開発(基幹ロケットの高度化)などを進めています。
ロケット開発は、そのロケットを実際に打ち上げてみるまで結果がわからないという難しさがあります。そのような中でも全ての打ち上げを成功させるべく、地上での各種試験やシミュレーション、点検などを入念に行うことで、不確実要素を限りなく排除し、100%自信を持って打ち上げができる状態に仕上げていきます。 - インタビュアー 本日は貴重なお話をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。
関連動画
H3ロケット試験機2号機のダイジェスト映像がJAXA様から公開されています。こちらもご覧ください。
お客様情報
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
- 本社 ・ 調布航空宇宙センター
- 東京都調布市深大寺東町7-44-1
- 筑波宇宙センター
- 茨城県つくば市千現2-1-1
- webサイト

ロケット広場
A&D Products & Services
A&D製計測装置
- 種子島宇宙センター:1段実機型タンクステージ燃焼試験(CFT)計測装置イメージ
A&Dは、ますますの宇宙開発発展を期待して、今後も引き続きH3ロケットの打ち上げを応援してまいります。