電子天びん使用時の注意点
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電子天びんと地震の関係:見えない揺れが精密計量に与える影響
電子天びん、特に最小表示が0.1mg以下の分析用天びんは、非常に高感度な計量機器です。
そのため、人が感じ取れないほどの微細な風や振動でも、計量結果に影響を及ぼすことがあります。
微細な振動への対策
通常、電子天びんは外乱の少ない場所に設置することが推奨されており、風には外風防、振動には除振台などの対策も有効です。
軽微な振動であれば、天びんに内蔵されたデジタルフィルターによって影響を低減することが可能です。
地震による影響は避けられない
しかし、地震のような低周波の振動は、デジタルフィルターや除振台では対処できません。経験的には、数GAL(ガル)の揺れでも分析用天びんの表示が不安定になることがあり、その場合は振動が収まるまで計量作業を中断するしかありません。
さらに注目すべきは、地震の発生場所が遠方であっても、規模が大きければ電子天びんに影響を及ぼす可能性があるという点です。たとえば、2025年7月30日に発生したカムチャツカ半島東方沖の地震では、日本国内でも電子天びんの表示が急に不安定になったという報告が複数寄せられました。これは、2008年の四川大地震や2015年のネパール大地震の際にも見られた現象です。
余震や免震構造による長期的な影響
さらに、余震が続いたり、建物が免震構造である場合、揺れの周期が長くなるため、影響が数日に及ぶこともあります。実際、東日本大震災の際には、最小表示が0.01g程度の電子天びんでも、数日から1か月程度、表示がバラつくという現象が確認されました。
作成:2025年7月31日