WinCT-Viscosity 測定事例のご紹介
WinCT-Viscosityとは
WinCT-Viscosityとは、音叉型振動式粘度計SVシリーズ、SV-Aシリーズ、SV-Hシリーズで測定したデータをリアルタイムでグラフ化する専用ソフトです。(※WinCT-ViscosityはWindows 7にも対応しています。)
粘度計SVシリーズでは、WinCT-Viscosityを使用することにより、測定したデータのパソコンへの取り込み、保存やデータ解析が簡単に可能となります。
WinCT-Viscosityは、3つのソフトで構成されています。
RsVisco
- 粘度計より受信したデータをリアルタイムにグラフ化することができます。
- 測定中の粘度の変化過程や温度変化も同時に表示することができます。
- 測定条件を変えたグラフの重ね書きも可能。
RsCom
- 粘度計とパソコンの間でデータの送受信を行えます。
- 粘度計の制御に便利です
RsKey
- 粘度計から出力されたデータを他のアプリケーションソフトウェアへ転送することができます。
測定事例 エチルアルコール
低粘性(低粘度)のサンプル測定例です。エチルアルコールの水溶液濃度を0%、20%、40%、60%、80%、100%と変化させた時の粘度を測定した結果です。温度は25℃一定にしています。
SV-10粘度計で得られた測定結果と理論値と比較したところ、ほぼ一致した結果が得られました。
濃度によって粘度は変わります。エタノール100%、エタノール0%(水100%)のときは、ともに粘度が低いですが、両者を混ぜると粘度は高くなります。
測定結果は、理論値とほぼ同じとなりました。なお、理論値は、密度補正をしています。
エタノール水溶液
エタノール水溶液の濃度と粘度の関係
測定事例 食塩水
食塩水の濃度を0%、4%、10%、15%、20%と変化させた時の粘度を測定した結果です。
また、それぞれの濃度において食塩水の温度を25℃から45℃まで変化させた場合の粘度変化を示しました。
食塩水の温度と粘度の関係
食塩水の濃度と粘度の関係
試料名 | 粘度(測定値) [mPa・s] |
試料温度 [℃] |
温度係数 [%/℃] |
---|---|---|---|
食塩水(濃度20%) | 1.61~1.10 | 24.6~46.1 | -1.8 |
食塩水(濃度15%) | 1.36~0.94 | 25.0~46.5 | -1.7 |
食塩水(濃度10%) | 1.14~0.78 | 25.1~47.8 | -1.7 |
食塩水(濃度4%) | 0.97~0.67 | 24.5~45.6 | -1.7 |
精製水(濃度0%) | 0.9~0.63 | 24.2~43.5 | -1.8 |
測定事例 界面活性剤
非イオン系界面活性剤の1%水溶液において、加温過程での粘度を連続的に測定した結果で、温度上昇過程における粘度の急激な変化(低下)から、界面活性剤の曇点(くもり点)を求めることができます。
非イオン界面活性剤水溶液は、温度をあげていくとある温度において白濁します。このときの温度を曇点と呼び、従来は光学的に測定することしかできませんでした。
しかし、曇点においては、物性の変化により粘度も急激に変化し、SV-10を利用することで、粘度の変化からも曇点を測定することができます。
SV-10を用いて、非イオン界面活性剤(濃度1%)を加熱しながら測定した結果を示します。グラフから、粘度の急激な変化が35.4℃で見られます。この温度が、曇点として測定されたことになります。
JIS法による非イオン界面活性剤の曇点は35.9℃であり、SV-10で曇点測定が行えることがわかります。
非イオン界面活性剤の測定経過時間と温度・粘度の関係
非イオン界面活性剤の温度と粘度の関係
測定事例 卵白
鶏卵の卵白を加温しながら粘度変化を連続的に測定した結果です。
温度上昇にともない、60℃付近までは通常の液体のように粘度が低下し、その粘度値は数mPa・sであったが、その後粘度は上昇に転じました。これはたんぱく質が凝固を始め、70℃までは流動性を持ちながら凝固を続け、70℃以上になると、非流動的な硬化過程が始まる様子が粘度変化として表されてます。
数mPa・sから10000mPa・sまでのダイナミックな粘度変化を連続的に捉えています。
卵白の測定経過時間と温度・粘度の関係
卵白の温度と粘度の関係
測定事例 ゼラチン
ゼラチンの2.5%および5%水溶液を冷却しながら粘度を連続測定した結果です。冷却過程において、粘度値が急激に上昇し、ゼラチン溶液がゲル化する様子や、濃度の相違によりゲル化温度が異なることが示されています。
ゼラチンの温度と粘度の関係
測定事例 半導体研磨材
常温(24℃)における半導体研磨剤の硬化過程を測定した結果です。研磨剤の粒子径はナノメートル(nm)のナノ粒子で、研磨過程とともに粒子分布が変化、その結果劣化していきます。
研磨剤の粒度分布を正確に求めるには、正確な粘度値が要求されます。
粘度計SV-10は半導体研磨剤のような低粘性の分散溶液の粘度を安定して測定することができ、研磨剤の本来の粘度、劣化状態の判断が可能となります。
半導体研磨剤の硬化過程
測定事例 石膏
水と石膏を混合させ、混合比50%、60%、67%の3種類の石膏を24℃の常温で硬化過程を粘度測定した結果です。混合比によって硬化時間が異なることが示されています。
石膏の硬化過程
測定事例 ハンダフラックス
ペースト状のハンダフラックスを加熱溶解して、自然冷却過程での粘度を測定した結果です。冷却にともない、ゲル化する温度(ゲル化点)がわかります。
ハンダフラックスの温度と粘度の関係
測定事例 グリース
2種類のグリースを加熱溶解して自然冷却過程での粘度を測定した結果です。温度の低下にともなってグリースが凝固し、粘度が急激に上昇する様子が分かります。
グリースの選択や潤滑性能を維持するためには、温度と粘度の関係を評価することが重要となります。
グリースの温度と粘度の関係
測定事例 潤滑油
潤滑油として、ガソリンエンジンオイルの粘度を測定した結果です。潤滑油を100℃まで加熱後、冷却させた過程の粘度を連続的に測定した結果です。エンジンオイルの他にも、油圧作動油やトルクコンバータ油など幅広い潤滑油の粘度測定に応用が可能で、潤滑油の経時的な劣化の評価に有用と考えられます。
ガソリンエンジンオイルの測定経過時間と温度・粘度の関係
ガソリンエンジンオイルの測定経過時間と温度の関係