エー・アンド・デイ情報マガジン『WAY』

VOL.17 2019.FEBRUARY 関西医科大学 衛生・公衆衛生学講座様

ユージングシーン
マルチチャンネル電動マイクロピペット
MPBシリーズ

マルチチャンネル電動マイクロピペット MPBシリーズ製品画像

医療設備や医療従事者が不足している国・地域の人を助けたい。
感染症対策の研究を進化させていくために、研究用の機器も進化したものを使っています。

関西医科大学 衛生・公衆衛生学講座 神田靖士准教授にインタビュー

ラオスやソロモンなどから留学生を受け入れ、各国の医療における課題解決に取り組まれている関西医科大学 衛生・公衆衛生学講座の神田准教授。
医療設備や医療従事者が不足している国・地域でも、結核の感染検査ができる新しい診断技術を開発中です。

インタビューいただいた関西医科大学准教授神田先生の画像

関西医科大学
衛生・公衆衛生学講座
再生医学難病治療センター
准教授
博士(工学) 神田靖士先生

ラオスなど熱帯地方では、蚊を媒介とした感染症対策が急務です。

インタビュアー ラオスには感染症に罹患している患者が多いそうですね。
神田先生 蚊を媒介とした感染症が多いのです。一部の都市部を除いて水道設備が完備されていませんので、各家庭で雨季に水瓶に雨水を蓄えています。その水瓶に大量のボウフラが発生して、ウイルス性の感染症の流行を拡大させてしまいます。
どこの国・地域でも蚊の発生をゼロにすることはできません。感染症は世界中のどこでも起こりえますので、それぞれの国・地域に応じた対策が必要です。ラオスでも水道設備の導入が進められていますが、資金的に「すぐに」というわけにはいかないので、現状では水瓶から蚊が発生しない対策が急がれています。
インタビュアー 具体的には、どのような対策が行われていますか?
神田先生 化学メーカーと協力して、水瓶に発生したボウフラが成虫になれないように、水瓶に抗ホルモン剤を染み込ませたネットを入れています。当然ことですが、この薬剤は人体には無害です。

世界人口の4分の1が結核に感染しています。この状況を放っておけません。

インタビュアー 感染症と聞くと、真っ先に結核を思い浮かべます。
神田先生 結核は世界10大死因の一つと言われています。
日本では少なくなってきていますが、WHO(世界保健機関)によると、発展途上国を中心に世界人口の4分の1が結核に感染しているそうです。
国連では2030年までに世界全体の結核の流行を終結させる目標を立て、予防、治療、感染制御の取り組みに力を入れています。
インタビュアー 結核の感染は、どのように診断するのでしょうか?
神田先生 日本のように医療機器が充実している国・地域では、胸部レントゲンがスクリーニング法として使用されていますが、この方法だけでは確定診断を行うのが困難なので、さまざまな医療機器や診断キットを使用して確定診断が行われています。
インタビュアー 発展途上国の状況はいかがですか?
神田先生 発展途上国は医療機器が不足しています。診断キットを用いた診断でも高価な機器が必要なので、2週間以上持続した咳などは臨床症状で診断することが多いですね。また、診断キットは検体として血液を使いますが、発展途上国に限らず、採血を嫌がる人もいます。
そこで私たちの研究室では、採血することなく、低侵襲性(注1) で診断できる方法を考案しています。この新しい診断の指標には、抗原抗体反応を用いない新規バイオマーカーを使用することを考えています。
この診断方法が実用化されれば、レントゲンなどの医療設備がなくても、採血しなくても、早期に結核感染の診断できるようになります。
医療設備や医療従事者が不足している国・地域の人を助けたいという願いが、私の研究目標であり、この取り組みはその一つです。この研究で学んだことを、いずれは私の専門である再生医療の研究につなげていきたいと考えています。

電動マイクロピペットは、誰が分注しても、いつでも同じ量になります。

インタビュアー 先生の研究に、A&D製の電動マイクロピペットをご採用いただいています。
神田先生 以前からシングルタイプの「MPAシリーズ」を使っていますが、新製品のマルチタイプの「MPBシリーズ」も使い始めました。
電動マイクロピペットは、ELISA法(注2) の実験のときに、検体の希釈や分注などに正確性が求められる場面で使っています。
インタビュアー 使い勝手はいかがでしょうか?
神田先生 MPBシリーズは多くの検体を一気に調べることができるので便利ですね。
ピペットで分注する際に肝心なのは精度です。96プレートのどのウェルも同じ量を入れる必要があります。
MPBシリーズは誰が分注しても、ほとんど誤差がなく同じ量になります。手動のピペットでは、こうはいきません。
インタビュアー MPBシリーズの製品コンセプトは「疲れにくさの追求」なのですが、いかがでしょうか?
神田先生 親指ではなく、人差し指を使うので疲れにくいですね。親指で何回も分注すると、親指が痛くなりますので、人差し指を使うのは良いアイデアだと思います。
あとはシリンダーを1本ずつ交換できることも便利ですね。シリンダーは使用しているうちに、シリンダー内の摺動部分が少しずつ摩耗していきますが、均一に摩耗するわけではありませんので。
インタビュアー 本日は貴重なお話をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。

(聞き手:株式会社エー・アンド・デイ 販売促進部)

お客様情報

関西医科大学 衛生・公衆衛生学講座
所在地
大阪府枚方市新町2-5-1
大学創設
1928(昭和3)年
研究内容
分子生物学的手法を用いた感染症の新規診断法の開発およびウイルス感染症の感染制御などの基礎的研究を中心に、我々を取りまく社会や医療現場における諸問題をさまざまな角度、視点でとらえ、幅広い研究を遂行しています。
関西医科大学の外観画像

お使いいただいているA&D製品

8chマルチチャンネル電動マイクロピペット MPBシリーズ

電動式のメリットを持ちつつ、使いやすさを徹底的に追求

  • 捨て分注が不要
    • プレディスペンス機能で、バックラッシュによる最初の分注時の誤差を補正
  • ユーザーCAL機能
    • 簡単にキャリブレーションが可能〔特許取得済〕
  • メンテナンス用としてロアパーツ/シリンダーを単体でも販売
    • シリンダーは1本ずつ交換が可能〔特許申請中〕
    • シリンダーを取り外して、任意の本数で吸引・吐出も可能
  • 「疲れにくさ」を徹底的に追求
    • 連続作業時の疲労感を低減するため、本体のグリップは握りやすい形状
    • 親指ではなく、人差し指で吸引・吐出操作をすることで、疲労を緩和〔左手での操作も可能〕
    • 薄く長いフィンガーフックは、指がかかりやすく、ボタン操作を妨げない形状