情報マガジン『WAY』

エー・アンド・デイ情報マガジン『WAY』

VOL.14 2018.SEPTEMBER 早稲田大学 名誉教授 研究院 次世代自動車研究機構 特任研究教授
エー・アンド・デイ 社外取締役 大聖泰弘様

ユージングシーン
自動車計測・制御シミュレーションシステム
「MBSim」

自動車計測・制御シミュレーションシステム「MBSim」 製品画像

自動車の環境・エネルギー技術の高度化に、
A&Dの計測・制御シミュレーションシステムが貢献しています。

早稲田大学 研究院 次世代自動車研究機構 大聖泰弘名誉教授様にインタビュー

自動車エンジンの燃焼、排気浄化、高効率化、新燃料の利用技術など、次世代自動車の技術課題やクルマ社会のあり方について、多岐にわたる研究に取り組まれている早稲田大学 研究院 次世代自動車研究機構の大聖泰弘名誉教授。
それらの研究に、A&Dの計測・制御シミュレーションシステム「MBSim」(注1) をご採用いただいています。

インタビューいただいた早稲田大学 名誉教授 研究院 次世代自動車研究機構 特任研究教授 大聖(だいしょう) 泰弘様の画像

早稲田大学
名誉教授
研究院 次世代自動車研究機構
特任研究教授
大聖(だいしょう) 泰弘様

道路走行を再現できるシミュレーションシステムがスピード(時間)アップ、手間(人手)とコスト(費用)の削減の面で貢献してくれています。

インタビュアー 先生の研究概要を教えていただけますか?
大聖先生 一言で言えば「自動車エンジンの燃費や排出ガスに関わる課題を解決するための研究」です。
この研究ではさまざま試験を行いますが、クルマの実物をつくって路上試験を行うのではなく、実際の道路走行を再現できるモデルをつくり、シミュレーション試験を行っています。
インタビュアー ここ数年で急速に自動車のハイブリッド化が進んでいますね。
大聖先生 国際的なハイブリッド比率はまだ5%以下ですが、我が国は約30%もあります。これは国民の環境保全に対する意識が高いことと、燃費の良さをユーザーが評価していること、さらにはエコカー減税などの国の政策の現れだと思います。今後、さらに国の燃費基準の強化が予定されていますので、2030年には国内を走行するクルマのほとんどがハイブリッド化されているのではないでしょうか。
インタビュアー 地球温暖化抑制についての取り組みはいかがでしょうか?
大聖先生 2015年10月のいわゆるパリ協定(注2) では、温暖化を産業革命以前より2℃以下に抑えるために、2050年に先進国は温暖化効果ガスを現状から80%削減し、全体として50%削減を目指すことが合意されています。
したがって、全世界の石油の約60%を消費する運輸部門、とりわけ自動車のエネルギー利用の高効率化と低炭素化が強く求められています。
インタビュアー それらの課題解決のために、A&DのMBSimはお役に立っていますでしょうか?
大聖先生 とても役立っています。エンジンや車体、タイヤなどクルマを構成する要素は、刻々と変化する道路状態や傾斜、風などの影響に合わせて常に変動しています。
これらの変化を見込んだ条件を与えて高精度な試験を行うにあたり、A&DのMBSimを使えば実際の道路と同じ環境を実験室の中につくることができますので、スピード(時間)、手間(人手)、コスト(費用)の面で大いに貢献してくれています。

乗り心地や運転のしやすさなど、クルマの魅力を引き出す役割も担っています。

インタビュアー 騒音対策の研究についてお聞かせください。
大聖先生 今後はタイヤの騒音規制も一段とシビアになりますので、タイヤの評価が重要です。
A&Dのタイヤ評価試験機(注3) は、タイヤメーカー各社が導入して、便利に使っておられると思いますよ。
インタビュアー クルマの乗り心地についても研究していらっしゃるそうですが。
大聖先生 クルマに乗る人が快適に過ごせる走行空間をつくるために、さまざまな走行状態での走行安全性や微妙な乗り心地を再現することが求められます。
この研究にもA&Dの試験機を使い、平坦路上でのステアリング試験を台上に再現(注4) することで、効率的な試験が可能です。
インタビュアー あらゆる角度から研究をされていますが、研究全体を通したポリシーを総括してください。
大聖先生 環境保全やエネルギー対策はもちろん重要ですが、乗り心地や運転のしやすさなど、クルマの魅力を引き出すことで、時代のニーズの変化や技術力の向上に対応した持続可能なモビリティを開発したいと考えています。

これからは電力マネジメントと電力供給システムの構築が大きなテーマになります。

インタビュアー 近未来のクルマ社会は、どのようになっていますでしょうか?
大聖先生 ハイブリッド車の次は、直接コンセントから充電できるプラグインハイブリッド車に、さらにはこれらと共存しながら電気自動車へと移行していきます。しかし現状では、充電に時間がかかるため、急速充電が課題になっています。
現在の急速充電の出力は50kWですが、近々150kWになろうとしています。そして2年後には350kWまで引き上げた充電システムも登場しますが、これは住宅100戸分の電力に相当します。
現状の電力供給システムでこのような大電力を瞬間的に使うと、近隣一帯が停電してしまうおそれがあります。
インタビュアー いまの流れのまま進むと、最終的にクルマは全部、電気自動車に移行するのでしょうか?
大聖先生 最近よく言われるようになったESG(Enviroment Society and Governance / 環境・社会・企業統括)という考え方がありますが、社会や企業の長期的な成長のためには、化石燃料の排除は避けて通れないことだと思います。
これから20~30年かかるかもしれませんが、電気自動車のクルマ社会を実現するためには、再生可能エネルギーによる電気の割合を増やし、それを含めた電力需給マネジメントシステムの構築が大きなテーマになります。
インタビュアー 本日は貴重なお話をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。

(聞き手:株式会社エー・アンド・デイ 販売促進部)

お客様情報

早稲田大学 研究院 次世代自動車研究機構
所在地
東京都新宿区大久保3-4-1
大聖泰弘様の略歴
1970年
早稲田大学理工学部機械工学科 卒業
1972年
同大学大学院理工学研究科 修士課程修了
1976年
同 博士課程修了
1976年
早稲田大学理工学部 助手
1978年
同 専任講師
1980年
同 助教授
1985年
同 教授
2018年
株式会社エー・アンド・デイ 社外取締役就任
早稲田大学 研究院 次世代自動車研究機構の外観画像

お使いいただいているA&D製品

新型HILSプラットフォーム HELIOS

大規模なHILSシステム・統合HILSシステムに最適なプラットフォーム

  • 制御用I/Oボードにフェール回路をオンボード搭載し、故障模擬のための外部BOXが不要。
  • 全I/Oボードに自己診断機能を標準搭載。
    試験中の問題発生時に原因の切り分けが可能。
    使用前点検にも活用可能。
  • 稼働時間モニター機能でソフトウェア稼働時間、電源投入時間の確認が可能。
    HILS装置の稼働率管理やメンテナンス時期の把握に活用可能。
新型HILSプラットフォーム HELIOSの製品画像
動的面圧計測ドラム試験機

Φ3.2mドラムを用いたタイヤ試験機
走行中の動的なタイヤ接地圧分布を計測

  • タイヤスタンドは車両実走行状態を再現するさまざまな機能を持ち、収録データからタイヤ伝達関数解析や動作中のさまざまな特性のデータ化が可能。
動的面圧計測ドラム試験機の製品画像