エー・アンド・デイ情報マガジン『WAY』

VOL.10 2018.JANUARY 東海大学工学部 応用化学科 淺香研究室様

ユージングシーン
音叉振動式レオメータ
RV-10000A

音叉振動式レオメータ RV-10000A 製品画像

試料を破壊せずに粘度が測れる粘度計はないか?
高齢者など摂食・嚥下障がいの方に『食は楽しみ』をお届けしたい。

東海大学工学部 応用化学科教授 淺香先生にインタビュー

「誤嚥(ごえん)(注1) で苦しい思いをしている患者さんが多い。何か改善する手立てはありませんか」
2004 年に東海大学医学部付属病院の管理栄養士から相談を受け、嚥下(えんげ)(注2) 機能が低下した患者さんのために、栄養剤の半固形化の研究に着手された淺香先生。
その後、この取り組みを継続・進化させながら、最近は粘度可変型栄養剤の研究に、A&D製の音叉振動式レオメータ『RV-10000A』をご採用いただいています。

インタビューいただいた東海大学様の画像

東海大学
工学部 応用化学科 教授
博士(工学) 淺香 隆先生

科学研究費補助金の採択を受け、栄養剤の半固形化を研究しています。

インタビュアー この研究を始められたきっかけを教えてください。
淺香先生 私はもともと無機化学が専門で、セラミックの研究をしていました。ところが 2004 年に本大学の付属病院に勤務していた管理栄養士の徳丸氏(現 金沢大学附属病院栄養管理室長)から、患者さんの誤嚥に ついて相談を受けました。そこで、工学は人の役に立つための学問であるという考えから、この研究に着手いたしました。
インタビュアー 誤嚥による事故が増えているという報道をよく耳にします。
淺香先生 特に高齢者や脳障害などにより嚥下機能が低下した患者さんは、摂食時に水や食物が肺に入り、誤嚥性肺炎を起こすリスクがあります。最悪の場合は、これが原因で死に至ることもあるのです。日本人の死因は多い順に悪性新生物、心疾患、そして3番目が肺炎ですが、60歳以上の肺炎死亡者の半数以上は誤嚥性肺炎が原因と考えられているのです。
インタビュアー 研究に着手された当初、どのようなことに注目されましたか?
淺香先生 嚥下食で重要となる食品の物性は「粘性・かたさ・もろさ・付着性・擬集性・弾力性」などですが、嚥下障がい患者に対しては咀嚼(そしゃく)(注3) に関することだけではなく、「喉ごしがよく・誤嚥を起こしにくい」嚥下のしやすさ、つまりレオロジー的な物性・要素も重要であると考えました。
インタビュアー 具体的には、どのような研究をされていますか?
淺香先生 2008年に科学研究費補助金の採択を受けて以降、栄養剤の半固形化の研究を続けています。栄養剤の種類に応じて適切な粘度をつける化学物質の研究に取り組むと共に、患者さんの病態に合わせたオーダー メイドの栄養剤の開発にも取り組んでいます。入院中や退院後の患者さんと介護するご家族の労苦を考えると、嚥下食の調理に関する情報提供は、まさに QOL(生活の質)の向上に直結していると思います。

粘度可変型栄養剤の研究のためには、ずり速度と粘度の関係がわかる音叉振動式レオメータ RV-10000Aが必要です。

インタビュアー 淺香先生とA&Dとの出会いは、展示会だったそうですね。
淺香先生 そうなんです。学生時代からA&Dさんの電子天びんを使っていましたが、研究のために使いやすい粘度計を探していまして、幕張メッセで開催された分析機器展(現 JASIS)でA&Dさんの音叉振動式 SV型粘度計に出会いました。もう15年以上も前のことですが、いまでも研究に使っていますよ(笑)。
インタビュアー どのような粘度計を探していらしたのですか?
淺香先生 それまでは、粘度測定といえば回転式のB型粘度計しか知りませんでした。しかし、回転式は、せっかく凝固した試料を破壊しながらしか測定できませんので、私の研究には不向きだったのです。「何かよい粘度計はないか?」と探していたら、A&Dさんに行き着いたというわけです(笑)。A&Dさんの粘度計は試料の中で振動子を共振させることで粘度を測定できますので、試料に与えるダメージが少ない。まさに探していた粘度計との出会い でした(笑)。
インタビュアー SV型粘度計に続いて、最近はRV-10000Aもご採用いただいています。
淺香先生 SV型は優れた粘度計ですが、振幅と周波数が決まっていますので、ずり速度(注4) と粘度の相関性を確認することができません。水のようなニュートン性流体(注5) は、ずり速度が変化しても粘度は一定値を示しますが、私が研究している栄養剤などの非ニュートン性流体(注6) はずり速度に応じて粘度が変化します。試料を破壊せずに、ずり速度と粘度との関係がわかる粘度計はRV-10000Aしかないと思います。いまは、RV-10000Aを使って粘度可変型栄養剤の研究を行っています。
インタビュアー 粘度可変型栄養剤は、どのようなケースで用いられるのですか?
淺香先生 口から食事を摂取できなくなった患者さんに対しては、流動食(経腸栄養剤)をチューブで消化器内に導入する経管栄養補給が行われており、手術手技の進展に伴って胃瘻 (いろう) による栄養補給患者が増加しています。しかし、患者さんが下痢による脱水症状を起こすケースがありまして……。これも最悪は死に至る場合があります。そこで、粘度可変型栄養剤が必要とされているのです。栄養補給のために胃瘻をしているのに、下痢をして脱水症状になるというのは本末転倒です。栄養剤をそのまま胃に入れると下痢を起こす場合があります。そこで栄養剤に増粘剤を加えて粘度を調整して、腸内の滞留時間を増やすことでゆっくりと消化し、水分も吸収していただくという試みが行われています。しかし、現状ではまだ、あまり認知度が高いとは言えません。今後、RV-10000Aを使った研究を進めて、成果を上げていきたいと考えています。

『食は楽しみ』。食物を口から入れて味わえる幸せをお届けしていきたい。

インタビュアー 学生さんたちも研究熱心のようですね。
淺香先生 よくがんばってくれていると感謝しています。私事で恐縮ですが、実は最近、身近で誤嚥性肺炎で亡くなった方がいまして、悔しい思いをしています。やはり私は『食は楽しみ』は不変な真理だと思います。多くの方に食物を口から入れて味わえる幸せをお届けするために、学生たちといっしょに研究を進めていきたいと考えています。
インタビュアー 当社の水分計MX-50もお使いいただいていますね。
淺香先生 水分計も重宝しています。短時間で水分率を測定できますし、データ通信ソフトウェアで簡単にデータをパソコンに取り込めます。A&Dさんには毎日お世話になっていますよ(笑)。
インタビュアー 本日は貴重なお話をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。

(聞き手:株式会社エー・アンド・デイ 販売促進部)

お客様情報

東海大学 工学部
所在地
神奈川県平塚市北金目4-1-1
学園創立
1942(昭和17)年12月
工学部設置
1950(昭和25)年4月
工学部学生数
6,215名(2017年5月1日現在)
東海大学のエントランスの画像

お使いいただいているA&D製品

音叉振動式レオメータ RV-10000A

新しい測定方式「音叉振動式」で低粘度 0.3mPa・s から25,000mPa・sまでの高精度な連続測定を実現

東海大学工学部 淺香先生の学術論文がA&Dのホームページに掲載されています。

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水分計 MS/MX/MF/ML

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水分計 MS/MX/MF/MLの製品画像